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融資を受けたいときの「事業計画書」の書き方のポイント 財務・会計/2018.05.30

ここでは、創業融資における事業計画書の記載方法についてご紹介します。

金融機関にとって、事業計画書は、返済してもらえる相手なのか、を見極めるために非常に重要な手がかりなのです。

この事業計画書の書き方がまずかったことにより、本来借りることができていたかもしれないのに融資を断られてしまうのは、本当にもったいないことです。

それに、融資が受けられないということは、創業者にとっては、大きな予定の変更を強いられることになり、相当な負担になります。ぜひ、入念に情報収集と準備を行い、慎重に進めていきましょう。

事業計画の記載内容

事業計画書には、以下のような内容を記載することになります。

これはどの項目も審査の上での意味があるので、いずれもしっかりと書いていきましょう。

  1. 創業の目的
  2. 経歴、経験
  3. 商品・サービス
  4. 仕入先、販売先
  5. 資金計画、収支計画

1.「創業の目的」記載のポイント

「創業の目的」は、簡潔に、明確に、誰もがわかるストーリーで記載しましょう。

また、この項目はときに、創業に至るまでの準備にかけた時間や、その事業にかける思いの量まで伝わってきてしまうものです。

そして、これらが事業の実現可能性にまで読み替えられてしまうこともあるということを理解しましょう。

なぜなら、事業というのは様々な困難が伴い、困難を乗り越えるために、意思の力、忍耐力などの、強い精神力や本気度が要求されるものだからです。

2.「経歴、経験」記載のポイント

「経歴、経験」は単に埋めればよいものではありません。

創業者のこれまでの経験が、経営能力を示しており、これが事業の実現可能性にそのまま直結してくるため、創業者が十分な経験を有しているかは非常に重視されます。

ですので、年月や会社名のみを列挙するのではなく、事業の運営のために活かせる経験をどのように積んできたか、を具体的に記載していく必要があります。

また、具体的な数字(人数、販売数、担当数)等を併記できることが望ましいです。

そして、もし不足している経験があるのであれば、それをどのように補うのか説明できるようにしておきましょう。補う方法としては、例えば、経験者を経営メンバーに加える、あるいは知識や技術を習得する、等があります。

3.「商品・サービス」記載のポイント

商品、サービスの記載は、事業に対して、経営者がどこまで深堀できているか、という部分が見られます。

BtoBなどのビジネスモデルで、すでに得意先の目途がついている場合は別ですが、BtoCなどこれから不特定多数に対してアプローチをかけ、顧客を獲得し、商品を販売していくようなビジネスモデルの場合は、この項目は非常に重要になってきます。

3-1.概要

簡潔に記載します。

もし認知度の低い商品・サービスなのであれば、必要に応じて説明を加えます。

3-2.セールスポイント

商品やサービスが、ターゲットのニーズに対して、また、これまでの状況に対して、どのような強みがあるのか、を記載します。

3-3.販売ターゲット・販売戦略

ターゲットを明確化し、また、どのような経路で商品やサービスを認知させ販売するか、ということについて記載します。

3-4.競合・市場等(企業を取り巻く状況)

市場がどのような特質をもっているか、またどのような競合が存在しているのか、また、それらの状況に対して、どのような仮説を立て、戦略をとっていくのかを記載します。様々なリスクについて分析できているか、また十分な対応策を備えているか、等を記載します。

4.「仕入先、販売先」記載のポイント

すでに取引の予定がある取引先について、記載していきます。これらが、事業の実現可能性の裏付けとなります。

販売先はもちろんのこと、特殊な商品や特殊な条件での仕入が前提となったビジネスモデルにおいては、仕入先が確保できているかということも重視されます。

5.「資金計画、収支計画」記載のポイントと申込金額の決定

数値計画作成の流れは次のとおりです。

①資金計画の使う金額と手元のお金を列挙します。

  • ・使うお金(設備資金、店舗の保証金等)
    ・手元のお金(自分の貯金、家族から借りるお金)
    ・借りたいお金(手元のお金の1倍~2倍と考えておくのが現実的です。)

の観点で考えると整理しやすいでしょう。

②収支計画を作成します。

収支計画は、月ごとで1年~2年くらいの期間で作成します。収支計画のポイントは、すべてある程度の金額算出の根拠をもっておく必要があることです。流れを確認してみましょう。

  1. 固定費を出します。
    人件費、賃借料、その他販売管理費等を算出します。
  2. 想定される売上を算出します。
    売上は、基準になる売上の最小単位を特定し、 そこに数量を乗じることにより、売上金額を見積もっていきます。
    ※例:従業員×売上単価、座席数×回転数×売上単価、広告費×売上数×売上単価等
  3. 原価を算出します。
    原価率を乗じて求めますが、原価率の異なる複数の売上がある場合は、商品1、商品2という具合に分割します。
    但し、売上を分ける場合、多くても3つ程度にした方がよいです。
  4. 販促費を算出します。
    広告費が固定なのであれば固定費に、売上に連動するようなものであれば、原価と同じような扱いで計画に盛り込みます。

③資金繰表を作成します。

資金繰表は、②で作成する収支計画の下に付け足すような形で作成します。流れは以下の通りです。

  1. ①の資金計画で求めた手元資金+借りたいお金をスタートとして、そこからまず当初使うお金(設備資金)をマイナスします。
  2. ②で作成した収支計画で算出した月次の収支を合せます。月ベースで利益が出ていれば資金は増加しますし、月ベースで赤字なら資金は減少していきます。
  3. その他、収支に表れてこない資金の増減を反映させます。例えば、資産の購入、または借入の返済などです。

④資金がマイナスになっていないかを確認します。

資金の推移を見たときにマイナスになっていたり、ゼロにかなり近くなってしまっている場合は、事業が続けられなくなる可能性が高い事業計画です。

再度計画を見直して、修正します。

⑤上記③、④の収支計画、資金繰表までできたら、運転資金の必要額が算出され、申込金額が決まります。

運転資金は、ある程度幅をもたせても大丈夫です。

事業計画書の他に補足資料も必要なのか?

創業計画書を準備するにあたって、どのくらいの資料を準備すればよいか迷われる方が、多いようです。

また、パワーポイントなどでプレゼン資料をたくさん準備したら、融資の確率が上がると考える方もいます。

ですが、資料はただ添付すればよいというものではなく、「事業の内容」次第で求められるものも変わってくるもので、添付資料は不要な場合もあれば、入念な準備が必要となるケースもあります。

例えば、比較的収支のイメージが付きやすい業態(飲食店等)の場合は、見積書や内装の設計書、メニュー、WEBサイト等、すでに準備しているものを提示すればよく、一方で、全く新しい事業を創出するような場合は、収益化が可能であることの根拠として、「市場の調査、分析」「競合、既存事業の調査、分析」「ビジネスモデル」等を説明する必要があるため、提示する資料はある程度のボリュームになってきます。

つまり、審査担当者から、「創業者が想定している通りの業績があがり、返済してもらえそうだ」と如何に思ってもらえるか、そのために必要な準備であると理解していただければよいでしょう。

まとめ

事業計画は、創業融資の審査における非常に重要なポイントです。そして、創業融資は、簡単にくり返し挑戦できるものではなく、1回で決めなければならないものです(1回落ちるとしばらく申込できない)。

ですので、ご自分の計画をスムーズに実行に移していくためにも、この事業計画の策定の際は、有識者に相談しながら慎重に進めていきましょう。

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