ここでは合同会社設立の流れを紹介します。
日本では株式会社と比べると地味な存在になってしまっている合同会社ですが、「費用を抑えて会社設立したかった」、「将来的に組織変更の必要性がない」、「家族経営で行う」、「外資のお客様や海外との取引が多い」等の理由から、合同会社での設立を選択される方が増えています。
合同会社の特徴
合同会社の特徴として、以下のような点が挙げられます。
海外では「LLC」として認知度も高い
合同会社は平成18年(2006年)に施行された会社法によって定義された比較的新しい会社形態です。そのため、日本では認知度の点で株式会社に劣ってしまいますが、海外では広く「LLC」として認知されています。
実際に外国会社の日本法人が合同会社の形態で法人を設立することも多いです。
最高意思決定機関が出資者
合同会社の意思決定は出資者(=社員)の同意によって行われます。従って出資者が増えると意思決定の難易度が高くなります。広く出資者を募りたい場合には不向きの会社形態と言えるでしょう。
配当は出資割合に関係なく行われる
合同会社が配当を行う場合は、出資の割合とは関係なく利益配分を設定することができます。総社員の同意が必要です。
設立時の定款認証が不要、登録免許税が株式会社よりも安い
合同会社を設立する際には、公証人による定款認証が不要です。
また登録免許税も60,000円と株式会社の150,000円と比べて、90,000円安くなっています。
設立費用はトータルで約140,000円抑えることができます。
決算公告が不要
合同会社は決算公告が不要です。
取締役の任期
合同会社は役員の任期が無制限です。そのため役員変更が発生しても、変更登記の手間がかかりません。
合同会社設立にかかる費用
合同会社の設立費用は以下のとおりです。
- ● 収入印紙代(電子定款の場合は不要):40,000円
- ● 登録免許税:60,000円
- ● 公証人手数料:0円(公証人による定款認証は不要)
- ● 定款の謄本手数料(登録手続きに必要):約2,000円(1ページ250円)
⇒合計:約102,000円 or 約62,000円
設立に約240,000円かかる株式会社と比べると、費用面でのメリットが大きいことがわかります。
合同会社設立の流れ
合同会社設立の流れは以下のとおりです。株式会社の設立と比べて、とてもシンプルです。
- 合同会社設立に必要な基本事項を決定する
- 定款を作成する
- 登記に必要な書類を作成する
- 設立登記を行う
- 諸官庁に開業の届出を行う
⇒会社設立!
それでは上記1.~5.について、詳しく説明していきます。
1.合同会社設立に必要な基本事項を決定する
合同会社設立にあたって決める6の事項
- 商号(会社名)
- 事業目的
- 本店所在地
- 社員構成
- 事業年度
- 資本金の額
基本事項が確定したら、
- ● 会社の印鑑の作成
- ● 印鑑証明書の取得
- ● 設立費用の準備
も進めていきましょう。
2.定款を作成する
次に定款を作成します。
合同会社の定款は公証人による認証が不要であるため、株式会社の定款作成に比べて簡単になっています。
また、電子定款を作成すると収入印紙代40,000円がかかりませんが、専用の機器やソフトウェアを準備する必要があり、一から準備する場合は紙の定款とする場合よりもコストがかかってしまう可能性があります。
3.登記に必要な書類を作成する
合同会社設立に必要な登記書類は以下のとおりです。こちらも株式会社設立に比べるとはるかに簡単になっています。
- ● 設立登記申請書
- ● 払込証明書
- ● 印鑑届出書
- ● 代表社員就任承諾書
- ● 本店所在地及び資本決定書
なお、こちらは「現物出資がない」という前提で、準備が必要な書類です。
現物出資が必要な場合は別途必要な書類がありますので、注意しましょう。
4.設立登記を行う
本店となる場所の管轄法務局に株式会社設立登記申請書、添付書類等を提出します。
登記申請の日が会社の設立日となります。
ここまで対応して「登記完了=会社設立」です!
登記後の届出の対応も忘れずに行いましょう。
5.諸官庁に開業の届出を行う
登記後、税務関係機関に法人設立届出書等を提出する必要があります。
また、雇用する従業員がいる場合は雇用関係・社会保険関係機関にも届出が必要です。
許認可が必要な業種は、そのための届出も必要になります。
まとめ
以上が合同会社設立手続きの流れです。
株式会社の設立手続きに比べるとシンプルですが、現物出資の有無や従業員を雇う/雇わないの別に必要な書類が変わってくるなど、注意すべき点があります。
合同会社の設立も、株式会社設立と同じく専門家に依頼すると時間を節約することができます。
自分で手続きをするのか、専門家に依頼するのか、どちらがご自身の会社にとってメリットがあるかを考えて判断していくとよいでしょう。