一緒に働いてきた従業員も、いつか退職する日がやってきます。
入社のときと同様、退職時にも様々な手続きがありますが、漏れ抜けなく、滞りなく手続きを進めるようにし、お互いに気持ち良く退職の日を迎えられるようにしましょう。
従業員が退職を申し出てきたときの対応
就業規則に明確に定めを
民法(第627条)では退職の自由を保障しています。従業員は退職届を提出して、2週間が経過すれば退職が成立することになっています。
ただし、実際の会社運営においては、従業員の退職に伴い、新たな従業員の採用や業務の引き継ぎに時間を要することを鑑み、強制力はありませんが「30日以上前までに退職の申出をすること」等、記載しておくのがよいでしょう。
一般的にも「30日前(1ヶ月前)までに」という期間を設け、就業規則に退職に関する規定を設けているところが多いようです。
書面として退職願を
従業員が退職を申し出てきたら、「書面」で退職願を提出してもらうようにしましょう。
書面として記録に残しておくことで、一連の退職に関するやり取りの中での行き違いを防止します。
給与関連の手続き
給与所得の源泉徴収票の交付手続き
「給与所得の源泉徴収票」には、その年の1月からの年収、税額や社会保険料などの情報が記載されています。
源泉徴収票は退職日から1ヶ月以内に、退職者本人に交付する必要があります。
特別徴収にかかる給与所得者異動届出書
住民税を給与から特別徴収している場合、退職者が居住している市区町村に対して「特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」を提出する必要があります。
雇用保険の手続き
雇用保険被保険者資格喪失届
雇用保険の被保険者資格は退職と同時に喪失します。
そこで退職日の翌日から10日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届をハローワークに提出します。
雇用保険被保険者離職証明書/離職票
退職者本人から失業保険を受給するために離職票の発行の希望があった場合は、雇用保険被保険者離職証明書も作成します。
作成後、賃金台帳、出勤簿などの資料を添付して、雇用保険被保険者資格喪失届と合わせてハローワークに提出します。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続き
健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の被保険者資格は、雇用保険と同じく退職と同時に喪失します。
退職者からは保険証を回収し、退職日の翌日から5日以内に、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届と一緒に年金事務所に提出します。
なお、退職者に扶養家族がいる場合は、扶養家族の保険証も忘れずに回収しましょう。