株式会社や合同会社などの法人を設立した場合、社長1人であっても社会保険加入の手続きをしなければなりません。
「保険料の負担が・・・」と思ってしまうかもしれませんが、法律上の義務ですのでしっかり手続きを行いましょう。
そもそも「社会保険」とは何のことでしょう?
それでは「社会保険」とは何のことを意味するのでしょうか?
広義では国が運営する保険全般のことを言いますが、ここでは狭義の社会保険、「健康保険」、「介護保険」、「厚生年金保険」のことをさします。
労災保険と雇用保険は「労働保険」といい、社長や役員には適用されない労働者のための保険です(ただし、「特別加入」制度などもありますので、社長でも加入できることがあります)。
健康保険とは?
健康保険とは、病気やけが、またはそれに伴う休業、出産や死亡などの際に、保険給付を行う医療保険のうち、サラリーマンなど民間企業等に勤めている人とその家族が加入する医療保険制度のことです。
健康保険は大きく分けて2種類あります。
大企業の従業員が加入する「組合管掌健康保険」、中小企業の従業員が加入する「協会管掌健康保険(協会けんぽ)」です。
介護保険とは?
介護保険とは、介護が必要な高齢者とその家族を支援するために、さまざまな介護サービスを提供する保険です。保険者(運営主体)は各市町村と特別区です。
40歳以上の人は全員介護保険に加入しなければなりません。
厚生年金保険とは?
民間企業に勤めている人のための公的年金のことです。勤労者が老齢、障害、死亡等の理由により賃金を得られなくなった際、本人またはその家族の生活の安定のために年金給付を行います。
国民年金に上乗せする形で運用されています。
社会保険に加入するための手続きは?
健康保険・厚生年金保険加入のための手続き
会社設立後に以下の手続きが必要です。
- ● 健康保険・厚生年金保険新規適用届→会社設立後、10日以内に年金事務所へ届出ます。
- ● 健康保険・厚生年金保険資格取得届→新規適用届と同時に年金事務所へ届出ます。
また扶養家族がいる場合は、以下の手続きも必要です。
- ● 健康保険・厚生年金保険被扶養者(異動)届→新規適用届と同時に年金事務所に届出ます。
介護保険は個別の手続きは不要です
医療保険(健康保険・国民健康保険)に加入している40歳以上の人は、全て被保険者(加入者)になるからです。
社会保険の保険料は?
健康保険と厚生年金保険の保険料は労使折半となります。つまり保険料の半額は会社負担です。
保険料は被保険者の給与(この給与には基本給、諸手当、通勤手当を含みます)をもとに決定されます。保険料は給与の約30%と考えておけばいいでしょう。
半額を従業員給与から控除するとはいえ、会社としての負担もかなり重くなります。
社会保険に加入するメリット
健康保険・厚生年金保険に共通するメリット
- ● 保険料の会社負担分は全て経費として損金算入できます
- ● 社会的な信用が生まれ、良い人材を採用できる可能性が高まります
- ● 扶養の概念があるため、世帯全体の保険料額を抑えることができます。
健康保険加入のメリット
- ● 病気やけがで働くことが出来ない期間、最大18ヶ月の間、傷病手当金が支給されます。支給額は賃金の約3分の2です。
- ● 産前産後の働くことが出来ない期間、出産手当金が支給されます。支給額は賃金の約3分の2です。
厚生年金保険加入のメリット
- ● 老齢年金額が上乗せされます。
- ● 障害年金の等級数が多く、障害等級3級の場合に一時金が支給されます。
- ● 遺族年金の支給対象が広く、遺族厚生年金は要件を満たす配偶者、子、父母、祖父母が受け取ることができます。