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会社とは何か、株主や役員とは何か、を理解しよう 会社設立/2017.08.08

一口に会社といっても、会社にはいろいろあります。

会社をはじめようと思った方は、会社を設立するには「登記」をしなければならないということをご存じだと思いますが、そもそもどうして会社を設立するには、登記が必要なのでしょうか。会社の制度を理解するためには、まず「会社」とは何かを理解する必要があります。

会社に関係する制度は、会社への出資者や役員の責任と密接に関係してきます。今回は、会社とは何かを考えながら、会社の制度、出資者や役員の責任について解説していきたいと思います。

1.法人と会社の違い

会社法では、「会社は、法人とする」と定められています。法人と会社は何が違うのでしょうか。

(1)法人とは~社会的活動ができる存在

人は、生まれながらにして権利義務が認められている存在です。法人は人ではないので、組織として社会的活動をするには、さまざまな手続きが必要になってきます。そのうちのひとつが「登記」という制度です。法人は登記をすることで、法律で社会的存在と認められます。登記をすることで組織として社会的活動を認められた存在が「法人」なのです。

法人は人ではないので、人と同じ権利義務が全て認められるわけではなく、法律で定められた範囲内で活動を行うことができます。法人にはその目的によって、社団法人、財団法人、宗教法人などの種類があります。株式会社に代表される会社は、「営利社団法人」といいます。

(2)会社とは~利益を追求するための存在

次に、会社とは何かをみていきましょう。日本の会社法で認められている会社の種類は、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4つの種類の会社しかありません。これらの会社に共通することは、「営利社団法人」であるということです。

営利社団法人とは、簡単にいうと、活動をすることで利益を得ることを目的とする組織である法人です。つまり、会社は、利益を得るために活動することを目的としているのです。また、社団ですので組織であることを前提としており、複数人の集まりとされています。解釈によって社長1人しかいない会社でも、社団と認められるとされています。

では、4つの会社についてそれぞれ説明していきたいと思います。4つの会社は、会社が利益を得るための活動をしていくにあたって、出資者や役員がそれぞれどのような責任を負うかによって分類されています。株式会社、合名会社、合資会社、合同会社の4つの種類の会社の中で、一番利益を得ることに特化している会社形態が株式会社といえます。

2.出資者と経営者の責任によって分類される会社の種類

法律上、会社を考えるときにまず覚えておいてほしい前提として、「社員」とは会社の出資者を表すということがあげられます。通常の生活では、社員というと会社で働く人を指しますが、ここでは「社員」は出資者を表しています。

(1)合名会社

合名会社は、無限責任社員だけで構成されている会社です。無限責任社員とは、会社についての責任をすべて負う社員という意味です。たとえば会社に借金がある場合に、会社の借金はすべて出資者が負担することになります。

この場合、会社の役員は原則として社員全員なり、全員が会社の代表者となります。個人事業者の集まりや、親しい家族や知人と会社をはじめるイメージがぴったりくると思います。

(2)合資会社

合資会社は、無限責任社員と有限責任社員の両方の社員で構成される会社です。有限責任社員とは、出資した分だけの責任しか追わない社員のことをいいます。つまり、自分が出資した分はゼロになるかもしれませんが、会社にそれ以上の借金があっても自分が出資した以上には責任を負わなくてもよい社員です。これに対して無限責任社員は、自分が出資した以上に会社の借金が増えれば、その借金についても責任を負います。

この場合、有限責任社員は出資に対する利益を得るための立場にあり、会社の支援者といえます。会社の役員は、無限責任社員なることが多いといえるでしょう。合資会社は、合名会社と同じように信頼できる人どうしの結びつきによって会社が設立されるということでは共通しています。

(3)合同会社

合同会社は、出資者の全員が有限責任社員である会社です。株式会社と比べると、株主総会や取締役会といった複雑な組織構成をとらなくてもよく、会社運営については総社員の同意で行っていきます。このため、小規模な事業活動を行うのに向いている会社形態です。

合同会社の歴史は比較的浅く、2006年5月の会社法改正により新設された制度です。会社運営について総社員の同意が必要なので、合同会社も信頼できる人どうしではじめやすい会社形態です。

(4)株式会社

最後に、会社として一番知られている株式会社について説明します。株式会社は、有限責任社員のみで構成されている会社です。株式会社の有限責任社員、つまり出資者は「株主」と呼ばれます。株式会社の大きな特徴は、「所有と経営が分離」していることといえます。株主は、株式を購入することで出資を行い株主総会で会社の基本となることについての意思決定に参加します。株式会社の役員は株主がなってもよいのですが、全く出資をしていない人がなることもできます。つまり、出資者は株主、会社経営は取締役が行うというように会社の所有者と会社の経営者が分離されているのです。

株式会社のメリットは、出資に対する責任が有限であることです。株主は安心して投資をすることができ、株主としての地位は株式という形で細分化されていますので少額からの出資も可能となっています。このことから、株式会社では市場から大規模な資金調達を行うことができ、大規模な事業活動へとつなげることができ、利益を得るための活動がしやすい会社形態となっています。

多くの人から多くの資金を集めることができるかわりに、株式会社を作るための手続きは他の会社より複雑になっています。株主総会や取締役会といった組織を整備しなければならず、決算についても一般に公開をしなければなりません。

3.役員の責任

次に会社に対する役員の責任についてご紹介します。無限責任社員は無限の責任を負いますが、株式会社の取締役も出資はしていなくても、役員としての責任が法律で定められています。

(1)一般の人への損害賠償責任

役員は、会社の職務を行うときに、わざと誠実に職務を行わなかったり、役員が気をつけなければならない注意を行ったときには、取引先や一般の消費者などに対して損害賠償義務が生じます。役員は、注意深く役員としての職務を行っていかなければ法律的にも罰せられるのです。

(2)会社に対する責任

役員は、会社の職務を行うときにその任務を怠って会社に損害を与えた場合には、会社に対して損害賠償義務を負います。

(3)利益相反行為~役員が会社と取引する場合

役員は、会社の利益のために働く義務があります。役員が会社と取引をすることがあったときに、自分の利益を優先し会社に損害を与えないようにしなければならないので、その取引についての重要な事実を開示して承認を得なければならないことになっています。もしこの承認を受けなかった場合には、会社に損害を与えたと推定され、推定される損害額について賠償する責任を負います。

(4)競業避止義務~役員が会社と同じ業種の取引をする場合

役員は、会社の利益のために働く義務がありますが、会社のための職務を遂行しているときに得た情報を利用して、会社と同じ業界で同じような取引をすると、そのぶん会社が利益を得ることができなくなってしまい、会社に損害を与えると考えられます。このために、そのような取引を行うには取締役会の承認が必要になってきます。これを競業避止義務といいます。

4.まとめ

会社といっても日本には4種類も会社の種類があり、会社を設立しようと思った場合には、どのような形態で会社をはじめるのかを検討しなければなりません。そのためには、会社とは何か、会社の出資者や役員にはどのような責任があるのかを知っておかなければなりません。これを知ることで、会社設立に関係するさまざまな手続きについても理解が深まると思います。

会社を設立する前には、個人事業として事業をされていることが多いと思いますが、個人事業がよいのか会社形態がよいのかについてもメリットやデメリットがありますので、きちんと理解したうえで会社設立を検討されることをおすすめします。

ここでは簡単に役員や出資者の責任を説明してありますが、会社設立を検討するときには、詳しい責任や会社設立の手続きなどは、会社設立に強い専門家である税理士などに相談してアドバイスを受けることをおすすめいたします。

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