会社を作るためには法務局に登記をしなければいけません。
しかし、ある日突然法務局に行って、申請をすることは当然ですができません。ここでは株式会社の「設立登記」が完了するまでの流れを押さえていきます。
①会社の基本事項を決める
会社設立にあたって、次の10の事項を決めなければなりません。
これらが決まっていないと「そもそも希望する会社名で会社を作ることができるのか」が確認できなかったり、会社の憲法である「定款(ていかん)」を作ることができなかったり…という問題が生じてしまいます。
株式会社設立にあたって決める10の事項
- 商号
- 事業目的
- 本店所在地
- 株主構成
- 役員
- 設立日
- 資本金(設立時財産価額)
- 決算月
- 発行可能株式総数
- 役員任期
②同じ住所に同じ名前の会社がないか確認する
会社法では「同一商号かつ同一住所」の場合のみ登記が禁止されています。
事前に本店所在(予定)地の登記所で同一商号の有無を確認するとよいでしょう。
③法人の印鑑を作る、関係者個人の印鑑証明書の取得
登記をする際に法人の印鑑が必要になるため、印鑑を作成しましょう。代表者印(実印)、銀行印、社印(角印、会社印)の3つを作成しましょう。
会社名、会社住所、代表者名等のゴム印も作っておくと便利でしょう。
ゴム印は固定式ではなく、パーツごとに組み合わせられるタイプが便利です。
④定款(ていかん)を作成する
いよいよ会社の憲法、定款(ていかん)を作成します。
定款は会社のルールを記載したもので、設立時に作成したものをずっと使い続けます(設立時に作成する定款の事を「原始定款(げんしていかん)」と言います。
定款の内容に変更が生じた場合は、原始定款の後ろに変更事項を足していきます。
定款に記載する事項は「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」の3つに分類されます。
絶対的記載事項(会社法第27条)
会社法第27条において、株式会社の定款には次に掲げる事項を記載しなければならない、とされています。
ひとつでも欠けていれば、その定款は無効となってしまいます。
一、目的
二 、商号
三 、本店の所在地
四 、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
五 、発起人の氏名又は名称及び住所
相対的記載事項の例
定款に記載しなくても無効にはならないが、記載しなければ法的効力が発生しない事項のことをいいます。
- ● 取締役会、監査役などの機関設計 → 取締役会を設置しないこともできます
- ● 現物出資 → 金銭以外の財産出資のことです
- ● 株式の譲渡制限の承認機関 → 取締役会がない場合は株主総会、取締役会がある場合は取締役会か株主総会のいずれかです
- ● 単元株式数、株券発行の有無 → 株券は不発行とすることが多いです
- ● 取締役の任期 → 株式譲渡制限会社の場合は通常2年のところを10年まで延長することができます
任意的記載事項の例
定款に記載することが全く任意である事項のことです。ただし、公序良俗や法律に反しないものでなければなりません。
- ● 定時株主総会の招集 → 招集の時期や招集通知について決めます
- ● 議長 → 通常は社長が議長になると定めています。定めがない場合は、株主総会で議長を選任します。
- ● 取締役、監査役の人数
- ● 役員の氏名
- ● 事業年度 → 初年度は設立日から営業年度がスタートします。最終日は決算日となります。
- ● 会社の公告方法(会社法第939条第1項) → 官報、自社ウェブサイトや日刊新聞紙への掲載が必要です。
⑤公証人による定款認証
作成した定款に発起人全員が押印したあと、公証役場で定款が適法であることを証明してもらいます。
このとき、公証役場用、登記用、会社用として定款を3通作り持参します。
⑥出資金の払い込み
発起人の通帳に出資金を振り込みます。名前が印字されるようにしましょう。
定款認証前から発起人の個人口座にあった金銭は払込とは認められませんので、この場合は一度出金して、改めて入金する必要があります。
振込が完了した通帳のコピーが払込証明書となります。
⑦登記申請
本店となる場所の管轄法務局に株式会社設立登記申請書、添付書類等を提出します。
登記申請の日が会社の設立日となります。
ここまで対応して「登記完了=会社設立」です!
登記後の届出の対応も忘れずに行いましょう。
⑧税務署、その他の諸官庁へ会社設立後の届出を行う
登記後、税務関係機関に法人設立届出書等を提出する必要があります。
また、雇用する従業員がいる場合は雇用関係・社会保険関係機関にも届出が必要です。
許認可が必要な業種は、そのための届出も必要になります。
まとめ
以上が株式会社設立手続きの流れです。
手順が多く煩雑に見えますが、自分で対応することで費用を削減することができます。
また、この手順を専門家に依頼すると時間を節約することができます。
どちらがご自身の会社にとってメリットがあるかを考えて判断していくとよいでしょう。