会社の拡大に伴い、一緒に働く従業員が増えるのは喜ばしいことです。お互いに気持ち良く、勤務をスタートできるよう、採用が決まったら必要な手続きを抜け漏れなく、確実に進めていきましょう。
一般に採用が決まったら、
- ● 雇用契約書を交わす
- ● 身元保証書を提出してもらう(提出を求めない会社もあります)
- ● 雇用保険の手続き
- ● 社会保険の手続き
以上の手続きを行います。
雇用契約書について
雇用契約書とは?
雇用契約書とは、労働者と使用者の間で、労働条件を明確にするために交わす契約書のことです。労働契約書と呼ばれることもあります。
労働条件通知書ではいけないのか?
労働基準法では「労働条件を書面で明示すること」のみが、定められています。従って雇用契約書の形を取らず、会社から労働者に一方的に「労働条件通知書」を渡すだけで、法律上は問題ありません。
しかし、一般的には労働者からあとになって「聞いていたことと違う」というようなことを言われないよう、雇用契約書を取り交わすことが多いです。
雇用契約書に記載する内容
労働基準法に定められた、雇用契約書の絶対的明示事項は以下のとおりです(労働基準法施行規則第5条に記載されています)。
- ● 労働契約の期間に関する事項(契約期間を定める場合は「更新の有無」と「更新の基準」の事項)
- ● 就業の場所、従事する業務の内容
- ● 始業および終業の時刻、所定労働時間を超える労働(残業など)の有無、休憩時間、休日、休暇ならびに労働者を2組以上に分けて就業させる場合(交替制の勤務)における就業時転換に関する事項
- ● 賃金の決定、計算および支払いの方法、賃金の締め切りおよび支払いの時期ならびに昇給に関する事項
- ● 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
なお、上記のうち昇給に関する事項以外は、必ず書面を交付して明示する必要があります。
雇用契約書の手続き
雇用契約書を作成したら、記載の労働条件を労使双方で確認のうえ、労働者に雇用契約書の内容を承諾した旨の署名と捺印をしてもらいます。
署名捺印済みの労働契約書は、労使双方で保管します。
身元保証書について
身元保証書とは、従業員が万一、会社に損害をかけてしまった場合に連帯して責任を負うことを、身元保証人が会社に約束する文書のことです。身元保証の期間は、期間の記載がない場合は最大3年、定めた場合であっても最大で5年と法律で定められています。
また、身元保証書には、従業員の身元自体を確認する目的や、仕事に責任を持って取り組むという従業員本人の自覚を促す目的もあります。
雇用保険の手続き
雇用保険加入の基準
雇用する従業員が、「週の所定労働時間20時間以上」の契約の場合、雇用保険に加入する義務があります。
雇用保険の手続きの流れと必要な書類
加入には「雇用保険 被保険者資格取得届」が必要です。
入社日の翌月10日までに、所轄のハローワークに提出して手続きを行います。郵送でも手続きが可能です(返信用封筒が必要)。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続き
社会保険(健康保険・厚生年金保険)加入の基準
雇用する従業員が、「週の所定労働時間30時間以上」の契約の場合、社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入します。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続きの流れと必要な書類
加入には「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」が必要です。基礎年金番号の記載が必要なので、従業員本人から年金手帳を提出してもらいます。
従業員に扶養家族がいる場合には、「健康保険被扶養者(異動)届」も一緒に提出します。配偶者を扶養している場合は、配偶者の基礎年金番号を確認してもらい「国民年金第3号被保険者該当届」も同時に提出します。
おまけ~入社時に本人に用意してもらう書類のまとめ
源泉徴収票
同年に別の会社で働いていた場合には、前職の会社から退職時に発行された源泉徴収票を提出してもらいます
年金手帳
基礎年金番号の確認に使います。
雇用保険被保険者証
中途入社の従業員等で前職がある場合には、回収して被保険者番号を確認します。
雇用保険被保険者証がない場合は、前職の会社名を「資格取得届」の備考欄に記入します。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
国税庁のウェブサイトから用紙をダウンロードできます。
※国税庁ホームページ「[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」
従業員本人に、扶養者の氏名等を記載してもらいます。