会社の本店所在地は、定款の絶対的記載事項です。
会社を本店所在地外に移転するときは、定款変更の手続きが必要になり手数料がかかります。
本店とは?本店所在地とは?
本店とは
登記上の会社の本拠地のことです。必ず1つでなければいけません。
いわゆる「本社」とは必ずしも一致している必要はありません。
本店所在地
「○○県○○市」、「東京都XX区」までのことです。定款には「○○県○○市」、「東京都XX区」まで定めておけば問題ありません。
定款に住所を全て記載することも可能ですが、その場合、同一市内や同一区内の引っ越しでも、定款変更の手続きが必要になってしまいます。本店所在地は市区町村までの記載にしておくことをおすすめします。
賃貸事務所はもちろん、自宅やバーチャルオフィスを本店所在地とすることもできます。
注意点
許認可事業を行う場合
許認可事業を行う場合は、許可要件の中にスペースやレイアウトの指定がないのかを確認しておきましょう。
例えば、「一般労働者派遣事業」の場合、事務所について「事業所の事業に使用する面積が20平方メートル以上であること」と指定されています。
もしこのことを知らずに20平方メートル未満の事務所を借りてしまった場合、オフィスの借り換えや定款の変更登記などの手間や手数料がかかってしまうことになります。
自宅を事務所にする場合
持ち家の場合は問題ありませんが、賃貸物件の場合、登記をしても問題ないのかを確認しましょう。
賃貸借契約書などの書類に規定されていることもあります。
登記そのものを認めていない物件、登記は可能だが営業活動は認めていない物件、事業内容によって登記が可能な物件などさまざまなケースがあります。
バーチャルオフィスを利用する場合
バーチャルオフィスとは、事業開始に最低限必要な「住所」、「電話番号」、「FAX番号」などをレンタルしてくれるサービスのことです。
電話や郵便物は、バーチャルオフィスから設定した先に転送されます。
バーチャルオフィスには
- ● レンタル時に保証金や敷金がかからないため、数千円~数万円で借りることができる。
- ● 会社住所を都心の一等地とすることができる。
などのメリットがあります。
他方、デメリットとして、下記のようなものが挙げられます。
- ● 金融機関の口座開設を認められないことが多い→既に金融機関に繋がりがある等の特殊な状況がなければ、法人の銀行口座を作ることが難しくなります。
- ● 融資を受けられない可能性がある→バーチャルオフィスを使う場合、「事業としての実態がない」との理由で融資を断られる可能性があります
- ● 社会保険や雇用保険の申請が困難になることが多い→バーチャルオフィスの場合、基本的に社会保険や雇用保険の申請は難しいものだと認識しておきましょう。
- ● 許認可を取得できない可能性がある→許認可事業を行う場合は、あらかじめ許認可取得の要件を確認しましょう。スペースについて規定がある場合があります。
- ● 他社との住所重複可能性がある→バーチャルオフィスは複数の会社が使用するため、他社と住所が重複してしまい、登記ができなくなるなどの可能性も発生します。