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法人税の課税対象が広がる?~平成28年度税制改正 税務/2016.06.13

平成28年度の法人税の税制改正は、「課税ベースを拡大しつつ税率を引き下げる」ものであると言われています。

税率を引き下げるというのはわかりやすいのですが、課税ベースを拡大すると言われてもピンときませんよね。

法人税の課税ベースの拡大について、具体的にどのように制度が変更されたのかをまとめてみました。

課税ベースの拡大とは?

平成28年度の法人税の税制改正では、企業が投資などを行いやすくする目的で、法人税率が引き下げられました。

しかし税率を引き下げるだけでは税金からの収入が確保できないので、広い範囲で法人税を負担しあうことで、税収を確保しようというものになっています。
「課税ベースを拡大する」という意味は、課税対象が広くなるということで、主に以下のような税制改正が行われました。

欠損金繰越控除について

欠損金繰越控除制度は、税務上で赤字が生じた場合に、一定期間は翌年度以降の税務上の黒字から赤字を控除できるという制度です。黒字になっても過去に赤字がある場合には、法人税の負担を減らすことができます。

平成27年度の税制改正では、今まで欠損金の繰越期間が9年だったものが、平成29年度以降に欠損金が発生した場合には、繰越期間が10年に変更されました。今回の平成28年度の税制改正では、さらに見直しが行われ、10年の繰越期間が適用される時期が延長になり、平成30年度以降の欠損金について10年となりました。
つまり、平成29年度までの欠損金は9年、平成30年度以降の欠損金は10年の繰越期間となります。なお、平成20年度より前の欠損金については7年ですので注意が必要です。

また、控除限度額の見直しも行われましたが、中小法人等については控除限度額はありません。

生産性向上設備投資促進税制について

設備投資を行うときに、生産性向上設備投資促進税制を利用された方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この制度は、平成26年1月20日~平成28年3月31日までに、いくつかの要件をみたした設備投資を行った場合に、即時償却または税額控除を選択できるという制度で、企業の産業力強化を図るためのものです。
この即時消却または税額控除という部分が、平成28年度は以下のように変更されました。

  • 機械装置など・・・即時償却または5%税額控除→50%特別償却または4%税額控除
    建物、構築物・・・即時償却または3%税額控除→25%特別償却または2%税額控除

平成29年度には生産性向上設備投資促進税制は廃止される予定です。設備投資を検討されている場合には、早めに信頼できる税理士に相談されるとよいでしょう。

建物附属設備と構築物の減価償却

固定資産のうち、建物附属設備と構築物の償却方法について、従来は定額法と定率法を選択することができましたが、平成28年4月1日以降に取得などをしたこれらの資産については、定額法に一本化されることになりました。

定率法は定額法より、初期の段階で費用にできる金額が大きく、固定資産を購入して減価償却を行う場合に、初期の節税効果や投資回収効果が高いのです。固定資産の購入計画をたてる場合には、減価償却計画も一緒にたてて検討する必要がありますので、今後は、建物附属設備と構築物を購入する場合には、定額法を前提として計画をたてる必要があります。

まとめ

平成28年度の法人税制改正は、法人税率が引き下げられましたが、この法人税率の引き下げは、資本金1億円を超える大企業と、資本金1億円以下の中小法人の中で所得が800万円を超える法人についてのみです。それ以外の中小法人についての法人税率は今までと同じです。

一方、課税ベースが拡大されたことで、設備投資計画のある企業にとっては、不利な法人税改正になっていると考えられます。

どのような時期に設備投資を行ったらよいかなどの対策をたてるためにも、早めに信頼できる税理士に相談されることをおすすめします。

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