手形(てがた)は、代金の支払いや受取りなどに利用するものです。手形決済はとても便利なものですが、リスクもあります。手形決済とは何かについて説明し、手形決済のメリットとデメリットを考えてみたいと思います。
手形決済とは
手形の意味は従来は、なにかを約束したときの証拠として手の形を押していたことに由来するようです。
現在では、手形というと、将来の特定の日に、特定の金額を支払うことを約束した有価証券のことを指します。
具体的には、商品1.000円を仕入れた場合、1,000円分の手形を渡すことで商品の代金を支払ったことになります。また商品1.000円を売上げた場合、1,000円分の手形を受取ることで商品の代金を受取ったことになります。
現金や預金での支払いや入金は手形に記載されている期日(通常は2~3か月先)に行われます。
手形決済のメリット
(1)有利な資金繰りを行うことができる
手形決済を行う大きなメリットは、支払期日を延長することができることです。手形の支払期日までに現金を用意すればよいからです。
手形が期日どおりに支払われないことを「手形が不渡りになる」といいます。
1回目の不渡りで銀行に通知がされ、2回目の不渡りで銀行取引停止処分となり、事実上の倒産となります。
手形を期日どおり支払わないとこのような処分があるため、手形の支払は資金繰りの上で優先順位が高くなります。
このため、口約束で信用取引を行うことができず後払いができない場合でも、手形であれば取引ができることがあり、支払期日を延長しやすいのです。
(2)手形を利用したさまざま取引ができる
もうひとつのメリットは、手形を利用してさまざまな取引ができることです。
得意先から手形を受取り、この受取った手形を支払い先に渡すことで代金を支払うことができ、これを手形の裏書といいます。
得意先から手形を受取った場合に、期日よりも早く現金が欲しい場合には、銀行に手数料を支払うことで期日よりも早く代金の回収ができ、これを手形の割引といいます。
このほかにも為替手形を利用など、便利な手形の利用方法があります。
手形決済のデメリット
(1)倒産の危険がある
メリットで述べたように、手形を利用すると支払い期日を延長しやすいので、有利な資金繰りを行うことができますが、これは手形の期日までに支払いができない場合には、銀行取引上の処分があり事実上の倒産となる危険があるからです。
口約束での信用取引であれば、連絡をして少し期日を引き延ばしてもらうということができるかもしれませんが、手形取引の場合は、期日を守らないことで倒産の危険があるのです。
また、手形を裏書している場合や為替手形で支払いをしている場合、手形を支払うべき人が期日どおりに支払うことができない場合、かわりに支払義務が発生することがあります。
このときに代金を支払うことができなければ、連鎖倒産になってしまう危険があります。
(2)回収できない危険がある
得意先からの代金の回収を手形で行った場合、口約束よりは優先して支払ってもらえるかもしれませんが、代金の後払いという点では同じです。
得意先の資金繰りが悪ければ、その手形が不渡りとなり代金を回収できない危険があります。
手形決済のまとめ
手形決済は、代金決済や資金繰りを考えるときに便利なものですが、会社の倒産という大きなリスクがあります。手形を利用するときには、支払期日の管理をしっかりしていきましょう。
また、手形を受取る場合には、無条件に受取るのではなく相手先の信用状態によっては慎重に取引したほうがよいでしょう。
便利な反面、リスクもある手形決済は、手形の管理の方法や、どのような点に気を付けるべきかについて税理士などの専門家に相談しながら利用していくことをおすすめします。