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ベンチャーキャピタル(VC)の理解を深めよう! 財務・会計/2018.06.13

起業家の皆様は、「ベンチャーキャピタル(VC)」という言葉を聞いたことある方も多いかもしれません。今回は、「ベンチャーキャピタル(VC)」について、どのような役割なのか、起業家にとってのメリット、デメリットを説明していきたいと思います。

1.ベンチャーキャピタル(VC)とは?

ベンチャーキャピタル(VC)とは、有望なベンチャー企業に出資して株式を取得し、将来的に株式上場した際に株式を売却し、大きな値上がり益の獲得(キャピタルゲイン)を目的とする投資会社や投資ファンドです。

一般的に、日本の企業には金融機関、例えば銀行や信用金庫から借入を資金調達手段していましたが、企業は借入した後に利息を支払う必要があります。さらに、創業間もないベンチャー企業は、将来有望であっても金融機関からの信用力がありません。

そこで、現状の信用力はなくても、将来性のあるビジネスモデルを有している企業に対し、ベンチャーキャピタルは出資を行います。そして、単に出資だけをするのではなく、投資対象企業を育成することも特徴です。

2.ベンチャーキャピタルの役割を知ろう

ベンチャーキャピタルが企業を育成するプロセスはどのようになっているのでしょうか。

ベンチャーキャピタルの投資手順は大きく分けて、「ファンド組成→出資→投資→支援→EXIT→資金回収→分配」というプロセスとなります。

(1)ファンド組成

ベンチャーキャピタルによるファンドの組成は、「投資事業有限責任組合契約に関する法律」に基づいて、投資事業有限責任組合が用いられます。投資事業有限責任組合では、投資家の責任が出資額の範囲に限定されていることから、投資家のリスクは出資額に限定することができます。

ベンチャーキャピタルによるファンドの構成員は、ゼネラル・パートナー(以下GP)とリミテッド・パートナー(以下LP)から成ります。

一般的に、ベンチャーキャピタルがGPとなりファンドの組成を実施します。さらに、投資実行から、回収、分配、清算までファンドの管理運営に関わる業務を遂行し、ファンドの運営費用である管理報酬、ファンドの成果に対するインセンティブである成功報酬を対価として受け取ります。

(2)出資

ファンド組成後、GPであるベンチャーキャピタルは、ファンドへの出資を募ります。ファンドの趣旨や目的に賛同した投資家はLPとなります。

LPは、ファンドのキャピタルゲインを得ることを目的としてゼネラル・パートナーに資金の運用を委託する投資家です。LPの投資のリスクは、自身の出資額に限定されています。

(3)投資

ベンチャーキャピタルは、独自のネットワークを利用し、有望なベンチャー企業へアプローチします。

その際に、ベンチャー企業のビジネスモデルの評価だけではなく、経営者の性質も審査することになります。無事、審査を通過したベンチャー企業に対し、ベンチャーキャピタルは、ファンドで募集した資金を各企業へ投資します。

(4)支援

各企業へ投資後、企業ごとに経営コンサルティングを行い、育成支援を行います。

一般的にベンチャー企業は創業間もない企業もあるため、経営資源に乏しい場合がありますが、ベンチャーキャピタルによる支援により、ビジネスを拡大することが可能となります。具体的には、経営戦略の策定と実行支援、顧客・販路の開拓と拡大、業務・資本提携先の紹介、人材採用の支援等が挙げられます。

(5)EXIT

投資対象であるベンチャー企業が株式上場等により、ファンドの保有株式を売却することをEXIT(出口)と呼びます。

仮に、ファンドの存続期間内に上場することできなかった場合には、他の企業及びファンドに株式を売却します。

(6)資金回収

ファンドの保有株式を売却することで、投資資金の回収を行います。

この際に当初の出資額以上のキャピタルゲインを確保できるよう、ベンチャーキャピタルは企業価値の向上を目指します。

(7)分配

ファンドは、株式売却により回収した資金を出資者に分配します。出資者への分配後、投資事業有限責任組合は清算され、ファンドは終了します。

3.ベンチャーキャピタルと接点を持つにはどうしたらいい?

ベンチャーキャピタルとの接点を持つには、大きく分けて3つあります。

(1)自分で探す

ベンチャーキャピタル各社のホームページからの問い合わせを行ったり、ベンチャーキャピタル主催の説明会に参加することで、ベンチャーキャピタリストと面談する機会が設けられるため、自社のビジネスプランをアピールすることができます。

(2)紹介

人からの紹介により、ベンチャーキャピタルとの接点を持つことができます。

例えば、創業間もないベンチャー企業であっても、取引先の銀行等からベンチャーキャピタルを紹介されることがあります。また、顧問の会計事務所からベンチャーキャピタルを紹介されることがあります。銀行や会計事務所からの紹介であれば、ベンチャーキャピタルは、財務状況や業績に安心感があると判断するため、面談から審査までスムーズに進む場合があります。

(3)相手からの接触を待つ

最もおすすめしたい接触方法です。

ベンチャーキャピタルから「是非とも投資させて欲しい」と言われた場合、実際の投資まで行きつく確率は高いと言っていいでしょう。相手からの接触してもらうには、様々な方法があります。

まず、知名度が高いビジネスプランコンテストに応募することです。ビジネスプランコンテストの主催者がベンチャーキャピタルであれば、目に留まりやすいですし、そうでなくとも審査員や観覧者にベンチャーキャピタリストが参加していることが多いです。

この場合、例え最優秀賞に選ばれなくとも出場しただけで企業名とビジネスプランをアピールできますし、コンテスト後の懇親会でベンチャーキャピタリストと会話することもできます。

また、ベンチャービジネス系のイベントに参加するだけではなく、自分自身が話す機会のあるイベントに参加することが重要です。

ベンチャーキャピタリストに目に留まるには他のベンチャー企業にはない将来性を持っていなければなりません。そのためには、イベントでは必ず「発言」する機会を持つことが必要です。

さらに考えられる方法として、各種ビジネスメディアに取り上げてもらうことです。ベンチャーキャピタリストは、くまなくビジネス系のメディアをチェックしているため、経営者インタビューや自社サービスの記事の依頼が来たら引き受けてみてはいかがでしょうか。


(1)以外の方法は、地道な日々の努力にかかっていますが、やはり紹介やベンチャーキャピタルからの直接アプローチを受けることで、資金調達までの道のりがスムーズになります。

4.ベンチャーキャピタルからの資金調達によるメリット

(1)実績や信用力がなくとも資金調達が可能である。

創業間もないベンチャー企業は、事業拡大を考えているにも関わらず、過去の実績や信用力がないため、資金調達が容易ではありません。銀行や信用金庫にても創業、ベンチャー企業向けの融資は行っていますが、不動産担保や信用保証協会の保証が必要となります。

また、銀行や信用金庫においては与信限度額が存在するため、企業側が望んだとしても、希望の金額の融資が下りるとは限りません。

一方、ベンチャーキャピタルは、ベンチャー企業の事業自体の成長性や将来性があると判断すれば、出資を決定します。そのため、創業間もないベンチャー企業でも事業拡大のための事業投資資金を調達し易くなります。また、一度、ベンチャーキャピタルからの資金調達に成功すれば、他のベンチャーキャピタルにも「この企業は投資するに値する」と評判が流れるので、追加の資金調達も可能となります。

(2)ベンチャーキャピタルからの経営支援が受けられる。

ベンチャーキャピタルは、株式上場までのEXITするまで、経営者及びベンチャー企業に密着して様々な経営支援を行います。

例えば、全社戦略、営業、人事にまつわる各種戦略の策定支援や、財務、経理、コーポレートガバナンス等の内部管理体制の整備が挙げられます。それだけではなく、ベンチャーキャピタルから役員派遣を受けることで、より内部に入り込むことで、前述の経営支援の実行力が高めることが可能です。

また、ベンチャーキャピタル独自が保有するネットワークの中から、支援先の企業価値向上に貢献すると考えられる金融機関、証券会社、監査法人、顧客、アライアンス先を紹介することもあります。

ベンチャー企業は、少人数でスタートしており、知名度もないですが、ベンチャーキャピタルの支援を受けることで、そのリソースの少なさをカバーできることが可能です。

5.ベンチャーキャピタルからの資金調達によるデメリット

(1)事業計画達成や株式上場の目標を課される

ベンチャーキャピタルのEXIT(出口)は、株式上場により株式を売却することによるキャピタルゲインです。ベンチャー企業側には株式上場のための事業計画に沿った業績目標、上場準備のための内部管理体制の整備が求められます。

ファンドには存続期間がありますので、ベンチャー企業側は株式上場までの目標期限までに、利益目標と達成しなければなりません。事業計画はベンチャーキャピタルから常時モニタリング(監視)されるため、経営者自身にも業績達成のプレッシャーがかかることになります。

(2)経営者のみの判断で事業を遂行できない

ベンチャーキャピタルから株式出資を受けることは、株主としての発言権があり、また、役員の派遣を受け入れることで、会社内部の実務面に口を出す権利があります。

ベンチャー企業にとっては、外部から意見を言われることで、出資を受ける前よりも自由な事業活動はできないことになります。また、社長自身とベンチャーキャピタル側の意見の相違により、スピーディーな意思決定が行いにくくなります。

まとめ

ベンチャーキャピタルからの出資は、スタートアップ期の起業家にとって、一度は検討するべき資金調達手段と言えます。借入金と異なり、返済不要で、経営支援も受けられる魅力もあります。

その反面、ベンチャーキャピタルは意見を言う権利もあるため、経営者の思い通りにビジネスをすることが難しくなるかもしれません。これらのメリット及びデメリットを慎重に比較して、ベンチャーキャピタルを利用するかしないかを検討していきましょう。

新地 洋介

執筆者

新地 洋介 / Yosuke Shinchi

日本クレアス税理士法人

新規事業開発室 スタートアップ専門チーム

茨城県土浦市出身。会計事務所10年、創業者支援は6年以上の経験があり、起業家やスタートアップ支援の豊富なキャリアを持つ。 特に事業計画や創業融資の分野を得意とするが、これまで会計、税務、労務系や融資、補助金など幅広い専門業務を経験しているため、柔軟に対応できることが強み。

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