会社を経営していると、利益がでると税金を支払わなければいけないと考えて、赤字であれば税金はかからない、と思ってしまいがちです。
ところが、赤字であっても支払わなければいけない税金があるのです。
ということは、その会社を経営していく上では、その税金については、どうしてもかかる必要な税金として資金計画に組み込まなければいけません。
今回は、会計上の利益が赤字でも支払わなければならない税金について解説します。
1.所得にかかる税金
所得にかかる税金には、法人税、法人事業税、法人住民税(法人税割)があります。
厳密にいうと、会計上の利益と、税金がかかる利益(所得)の計算は違います。法人税、法人事業税、法人住民税(法人税割)は、会計上の利益ではなく、税法上の所得にかかってきます。
この税法上の所得は、会計上の利益をプラスマイナスして調整する方法で計算します。
たとえば会計上の利益が100円の場合で、税法上認められない交際費が5円あった場合には、105円の所得となり、105円に法人税がかかってきます。
もし、会計上の利益が赤字でも、税法上でプラスしなければならない項目が多いときには、所得がプラスになり、法人税、法人事業税、法人住民税(法人税割)がかかってくる可能性もあります。
会計上の利益と税法上の所得をなるべく近い数字にするために、会計上の利益を計算する段階で、なるべく税法にしたがった会計処理方法を選ぶなどすると、会計上の利益から税金が計算しやすく、わかりやすいと思います。
2.所得と無関係にかかる税金
(1)消費税
消費税という言葉は、日々の生活でもなじみ深い言葉ですね。消費税の引き上げなど、ニュースでも取り上げられることの多い税金です。
この消費税は、ご存じのように売上にかかってきます。売り上げたときにかかる消費税を事業者が預かっていて、預かっている消費税を国に納付するわけですので、消費税を支払っているのは消費者ということになります。
消費税を納付するときには、売上にかかる消費税を基準にして、そこから仕入れにかかる消費税をひいて、納付消費税額を計算します。売上にかかる消費税が80円で、仕入れにかかる消費税が40円であれば、80円から40円をひいた残りの40円を納めるのが基本的な計算方法です。
この計算方法を考えると、売上から仕入れをひいているので、だいたい利益の額で消費税が決まってくるようにも思えますが、経費の中には消費税とは関係のない給料などが含まれているので、仕入れなどの消費税がかかる経費が売上より多いのでなければ、利益としては赤字でも消費税は支払わなければならないことになります。
消費税は、売上が多いほど納める金額も大きくなります。
あとから消費税の納付にあわてないために、消費税は消費者から預かった税金だと考えて、売上にかかる消費税分から仕入れなどにかかった消費税を引いた分を企業内にプールしておくという方法をとるとよいでしょう。
(2)法人住民税(均等割)
法人住民税は、法人税割と均等割との2つがあり、法人税割は所得がマイナスであればかかってきませんが、均等割の部分は、会社の規模に応じて算定され、資本金や従業員の数などで判定されます。
この均等割の金額は、各都道府県、各市町村によって異なり、各自治体のホームページや税務署から送られてくる書類で確認することができます。
(3)外形標準課税が適用される場合の事業税
事業税についても、資本金が1億円を超える法人については、事業の規模によって課税されます。このように資本金などの事業の規模によって課税することを、外形標準課税といいます。税率は、各都道府県ごとに異なります。
3.まとめ
税金は少ないほうがよいのですが、節税対策をしてもどうしても支払わなければならない税金もあります。会計上の利益が赤字であっても、税金対策が必要になってくるのです。
信頼できる顧問税理士がいれば、期中でも納税予測(納税シミュレーション)をしてくれますし、納税のための資金繰りの相談もできるので、税金について不安がある場合には、信頼できる顧問税理士に相談することをおすすめいたします。