会社の設立登記が終わったから一安心・・・ではありません。登記完了後には、速やかに税務署等への届出を行わねばなりません。
ここでは届出先別に、必要な届出をまとめていきます。ぜひ参考にしてください。
なお、実際の届出については、思いのほか煩雑な作業となってしまうことですので、税理士や社会保険労務士に相談しながら進めるのもひとつの案でしょう。
①税務署
税務署には税務に関する届出を行います。
届出先の税務署は、定款に記載している本店所在地の管轄税務署です。
※管轄税務署は国税庁のウェブサイトで確認できます → 税務署の所在地などを知りたい方
また、手続きは郵送でも行うことができます。郵送の場合は、封筒に返信用封筒(切手貼付)と書類を2部ずつ(提出用と保管用)入れて、送付してください。
税務署への提出書類①:法人設立届出書
法人設立届出書は、税務署に対し、会社が設立したことを届け出るための書類です
法人設立後、2ヶ月以内に提出します。
申請書は国税庁ウェブサイトの「内国普通法人等の設立の届出」よりダウンロードすることができます。
また以下の添付書類も必要です。
- ● 認証済み定款のコピー
- ● 登記簿謄本(コピー可)
- ● 設立時貸借対照表
- ● 株主名簿
税務署への提出書類②:青色申告書の承認の申請書
法人にも国税の申告は青色申告と白色申告の2種類があります。
青色申告は複式簿記での帳簿を作成しなければなりませんが、法人税の税額控除を受けられたり、決算の赤字を9年間繰り越すことができたりするなど、様々なメリットを享受することができます。
青色申告書の承認の申請書は、青色申告で納税するために必要です。会社設立後3ヶ月以内、もしくは、最初の事業年度の末日までに提出してください。
書式は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます⇒「[手続名]所得税の青色申告承認申請手続」
※参考:青色申告を行うメリット
(1)9年間の繰越欠損金
過去の決算の赤字を9年間繰り越して黒字分と相殺することができます。
(2)少額資産の一括償却
年間300万円という上限がありますが、30万円未満の固定資産の全額を購入した年の経費にすることができます。
(3)特別償却、特別控除
一定の条件を満たした場合、減価償却を通常より多く計上できる特別償却や法人税を一定額控除できる特別控除等の制度を使うことができます。
税務署への提出書類③:給与支払事務所等の開設届出書
給与の支払いがある場合、税務署に提出します。
会社では給与は費用(損金)として取り扱うことができるので、税金対策上も大きなメリットがあります。
国税庁のウェブサイトより、書式がダウンロードできます([手続名]給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出)。
税務署への提出書類④:源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
給与を支払う人数が常時9名以下の場合は、この申請書を提出することで源泉所得税の納付を1/20と7/10の年2回にすることができます。
※申請しない場合、毎月10日までに前月分の源泉所得税を納付しなければなりません。設立すぐの会社の負担を軽減できる措置ですので、申請可能であれば申請しておくのがよいでしょう。
こちらの申請書も国税庁ウェブサイトより、ダウンロードできます([手続名]源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請)。
税務署への提出書類⑤:減価償却資産の償却方法の届出書 ※任意提出
減価償却の方法は原則定率法となります。定率法を選択する場合は提出の必要はありませんが、定額法等の他の方法を選択する場合は提出が必要です。
会社にとってどの方法で減価償却をするのがよいのか(節税になるのか)は、税理士に相談してください。
申請書書式は国税庁ウェブサイトよりダウンロードできます([手続名]所得税の減価償却資産の償却方法の届出手続)。
税務署への提出書類⑥:棚卸資産の評価方法の届出書 ※任意提出
棚卸資産の評価方法は全部で9種類あります。自社にとってどの方法が最適なのかは、税理士に相談するのがよいでしょう。
評価方法が決まったら、税務署に棚卸資産の評価方法の届出書を提出します。期限は最初の確定申告の提出期限までです。万一提出しなかった場合は、最終仕入原価法という方式を取らなければならなくなります。
書類は国税庁のウェブサイトからダウンロードできます([手続名]所得税の棚卸資産の評価方法の届出手続)。
②都道府県、市区町村
都道府県、市区町村には地方税を納税するために、法人設立届出書の提出が必要です。
書類の様式は各都道府県、各市区町村によって異なるため、提出先に確認しましょう。多くの都道府県、市区町村で、ウェブサイトからのダウンロードが可能になっています。
提出の際には
- ● 認証済み定款のコピー
- ● 登記簿謄本(コピー可)
の添付が必要です。
③年金事務所
年金事務所では社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入手続きを行います。
会社の設立日から5日以内に、以下の書類を提出します。
- ● 健康保険・厚生年金保険新規適用届
- ● 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
- ● 健康保険被扶養者(異動)届
④労働基準監督署
労働保険関連の手続きを労働基準監督署で行います。提出する書類は以下の2点です。
労働保険 保険関係成立届
保険関係が成立した日から10日以内に提出します。登記事項証明書を添付します。
ハローワークに雇用保険適用事業所設置届を提出する際に控えを添付する必要があるので、コピーをとっておきましょう。
労働保険 概算保険料申告書
保険関係が成立した日から500日以内に提出します。
また、雇用する従業員が10名を超えた時は、就業規則届も必要です。
⑤ハローワーク
ハローワークでは雇用保険関連の手続きを行います。下記の2点の書類を提出します。ハローワークの窓口で書類を記入することができます。
雇用保険適用事業所設置届
設置の日から10日以内に提出します。
添付資料として、
- ● 労働保険 保険関係成立届の写し(事前に労働基準監督署に提出したものの写し)
- ● 労働保険概算保険料申告書
- ● 登記簿謄本
- ● 事業所の賃貸借契約書の写し
- ● 設置時点で被保険者となる者全員の雇用保険被保険者資格取得届、法人設立届、事業所宛に配達された郵便物(事業所の稼働を証明する)
等が必要です。
必要になる書類は事前にハローワークに確認しておきましょう。
雇用保険 被保険者資格取得届
資格取得の事実があった日の翌月10日までに提出します。
賃金台帳、労働者名簿、タイムカード(出勤簿)、雇用契約書等の雇用したことを証明する書類の添付が必要です。
手続きには法人の実印を持参するとスムーズです。