労働保険(労災保険と雇用保険)は社長や役員には適用されない、労働者のための保険です。また健康保険は「仕事以外」のプライベートにおける病気やけがを保証する保険です。
従って、社長が業務中や通勤中にけがをしてしまったら、健康保険は使えず、労災保険も加入できないため使えない…という、制度の谷間に落ちてしまいます。
いったいどのように対処したら良いのでしょうか?
従業員5人未満の会社の場合
従業員5人未満の会社の代表者など(法人の代表者もしくは業務執行者を意味します)で、一般の従業員と同じような業務に従事している場合は、健康保険による給付を受けることができます。
「(健康保険の)被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者等であって、一般の従業員と著しく異ならないような労務に従事している者については、その者の業務遂行過程において業務に起因して生じた傷病に関しても、健康保険による保険給付の対象とする。」(平成15.7.1保発0701002号)
ただし、傷病手当金を受けることはできません。
従業員5人以上の会社の場合
この場合は労災保険からも健康保険からも給付を受けることができません。
従って、労災保険に特別加入するか民間の損害保険に加入するなどして、リスクを最小化していかねばなりません。
労災保険の特別加入とは?
労災保険には「特別加入」という制度があります。
これは、労働者を1人でも雇用している中小企業の事業主であれば、労災保険に任意加入できる、という制度です。
(社長1人の場合は加入できません)
特別加入をするには、労働保険事務組合に労働保険の事務を委託するか、事務組合の会員になっている社会保険労務士に手続きを依頼します。
また、特別加入の条件は業種によって異なります。
労災保険に特別加入できる中小企業
- ● 金融業、保険業、不動産業、小売業・・・常時使用する労働者数が50人以下
- ● 卸売業、サービス業・・・常時使用する労働者数が100人以下
- ● 上記以外の業種…常時使用する労働者数が300人以下