会社員として働いた経験のある方なら、一度は「源泉徴収(げんせんちょうしゅう)」という言葉を聞いたことがあると思います。
会社で給与計算を行う場合、しっかりしておかねばならないのが源泉徴収制度、源泉所得税についてです。
実際に給与計算を行うのは、社労士等の専門家に依頼しても問題ありませんが、仕組みの概要は理解しておきましょう。
源泉徴収の概要
源泉徴収制度とは?
源泉徴収(げんせんちょうしゅう)とは、会社が従業員に給与を支払う際に、従業員個人の所得にかかる所得税を給与から天引きし、会社がひとまず預かったうえで従業員本人に代わってまとめて支払う、という制度のことです。
源泉徴収制度は会社の義務として定められています。従って、いくら従業員から「税金は自分で支払うから給与天引きはしないでほしい」と申し出があったとしても、これに応ずることはできません。源泉徴収義務違反となってしまいます。
源泉徴収した所得税の納付のタイミングは?
源泉徴収した所得税は、原則として天引きした日の翌月10日までに納付します。
納期の特例とは?
給与を支払う従業員が常時9名以下の場合、給与や士業にかかる源泉所得税の納付を年2回とすることができる特例があります。
事前の届出が必要なので、特例を受けたい場合は忘れずに手続きをするようにしましょう。
納期の特例を受けた場合の所得税納付期限は
- ● 1月~6月の天引き分→7月10日に納付
- ● 7月~12月の天引き分→翌年1月20日に納付
となります。
計算方法
源泉徴収税額の計算方法は以下のとおりです。支払金額により、計算方法が変わります。
支払金額が100万円以下の場合
源泉徴収税額 = 支払金額 × 10.21%
支払金額が100万円超の場合
源泉徴収税額 = (支払金額 – 100万円)× 20.42% + 102,100円
源泉徴収の対象になる業務は?
給与所得が源泉徴収の対象になるのはイメージしやすいと思いますが、他にも以下のような業務が対象となります。
※参考 国税庁HP:源泉徴収が必要な報酬・料金等とは https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2792.htm
源泉徴収が必要な報酬・料金等の範囲は、その報酬・料金等の支払を受ける者が、個人であるか法人であるかによって異なります。
(1) 報酬・料金等の支払を受ける者が個人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
- ● 原稿料や講演料など ※ただし、懸賞応募作品の入選者などへの支払については、一人に対して1回に支払う金額が5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
- ● 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
- ● 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
- ● プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
- ● 芸能人や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
- ● ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
- ● プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
- ● 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
(2) 報酬・料金等の支払を受ける者が法人の場合の源泉徴収の対象となる範囲
- ● 馬主である法人に支払う競馬の賞金